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notes/雑記

限られた条件でクリエイティブする「舞台」の凄さ3 @劇団プレステージ

 
 
 

舞台ならではの世界観。それは良い意味での“生々しさ”だ。完璧じゃない。そこが良さであり、強みなのだ。

 

学ランを羽織った過去のシーン。前のシーンからのつなぎの関係で、主人公の学ランだけどうしてもその場にはないことがあった。誰かが自然と持ってくることはできない。

その時、舞台袖から学ランが投げ入れられた。シリアスなシーンに突如、異空間から颯爽と舞い降りた学ラン。急いで主人公がそれを拾い、しれっと学生になった。観客がどっと笑う。ドラマならNG、でも舞台なら“笑い”なのだ。

 

一人二役も舞台ならでは。父役と芸能事務所のマネージャーを一人でこなす役者がいた。服装は全身違う。

1度だけ、父役のシーンを終えてすぐに電車の音が鳴った。芸能事務所のシーンだ。ものの30秒。多分、その役者は舞台裏で、光速着替えを敢行しているはずだ。

まだ舞台に現れないマネージャー。

主人公はすでに登場しており、演技は始まっている。マネージャーを呼ぶ。

「あれ?サイトウさーん!サイトウさーん!!」。

舞台裏から聞こえる。「ちょっと待ってー!!」。

今日一番の笑いに包まれた。

サイトウマネージャーは、例によって椅子をガチャガチャと持ってきて、汗だくで言った「だんだん早くなってきてる」。

 

物語と現実の往来だ。凄く生々しくて、凄く愛おしくて、凄く巧い。限られた舞台の弱点を見事に笑いに変えた。

 

もちろん、物語は面白い。演技もさすがプロだと感心した。でもそれ以上に、舞台の魅力は「細かな演出の工夫」だと思った。

限られた条件で、ステージの空気や観客の心を一変させる。その高い技術を観るだけでも価値がある。

 

劇団プレステージ

http://amuse-gekipre.com

「あいつのチョキ」脚本・演出:今井隆文

 

 
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